本屋さんで見つけた「蕃東国年代記」の文庫本。単行本の時と出版社が違うので、これはきっと何年か前に出版された蕃東国年代記の続編がやっとでたんだと独り合点して購入しました。読み始めると半端でないデジャブが…。当たり前でした。
続編ではなくてかつて新潮社から出版されていた単行本が東京創元社から文庫本で発売されものだったのです。同じものを買ったしまったのでがっかりするところなのですが、何年かぶりで読んでみるとやっぱり面白いのです。平安時代の日本のようで日本でない、日本海にあるという架空の蕃東国のお話の短編集です。一人の主人公やその血縁者が各話に出続けているものでもありませんし、年代もバラバラです。年代記というタイトルほど長い時間が経っているものではありませんが、この物語が現在の視点から昔を語っているという形なので年代記かもしれません。再読して幻想的で不思議な世界をまた楽しむことができました。各話それぞれ趣があり、好みがあるでしょうけど宇内をメインにした話をもっといろいろと読んでみたいと改めて思いました。是非、続編というかこの世界を舞台にした新作を書いて欲しいと心から願っています。