この世にたやすい仕事はない 津村記久子
西加奈子さんのオススメ本としてあげられていた津村さんの小説を初めて読んでみました。中身自体は短編小説がまとめられたものですが、主人公は同じ「わたし」であり時間軸も1つずつで進んでいきます。前職をバーンアウトで辞めた主人公が実家でニートをした後、就職支援相談員に新しい仕事を紹介してもらうのですが、一風変わった仕事ばかりになっています。
各仕事がそれぞれ1つのストーリとして書かれており、どれも実際にある仕事なのかそれともフィクションなのかは分かりませんがリアリティはとても感じられます。例えば、おかきの袋の裏のミニ知識を考える業務。確かにぽたぽた焼のおばあちゃんの知恵袋というものが実際に存在しているので、仕事としてあるのかもしれませんが、そんな仕事が世の中にあるだなんて今まで想像もしていなかったので、苦悩やアイディアの出し方など自分の知らなかった新しい世界が広がります。学生時代にこの本を読んでいたら就職活動もまた違った観点で見れたかもしれないので、是非若い人にも読んでもらいたい1冊です。