百貨の魔法/村山早紀(むらやまさき)
この小説はちょっと落ち込んだ時や、励ましてほしいときなどに読むと絶大な回復力が得られるような話です。ちょっとファンタジー要素もあるのでそういった世界観が好きな人にぜひおすすめです。
物語は星野百貨店という老舗の百貨店にまつわる話になります。そこに勤めている若い従業員、ずっと勤めてきて百貨店のいろんな面を見てきた従業員、昔その店にお世話になった客、その創業者など、章ごとにいろんな立場から百貨店を見つめた話をつづっています。
建物の老朽化、客のニーズの変化、経営が傾いてきている中でも、それを支え続けているいろんな人の想いや愛情を感じられる、温かい物語です。
誰も素性を知らない、謎の従業員が各章に少しずつ出てきますが、最後の方にはなるほど、と合点のいく結末があり、その点でも楽しむことができました。
自分もあまり普段は行かないけれど、百貨店に行ってみようかな、と思わせてくれるようなワクワク感のつまった小説です。