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感想・書評『萱野稔人:カネと暴力の哲学』ネタバレ注意「政府は暴力機関であると定義する大胆な発想の社会解説本」(レビュー)。 #読書

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萱野稔人『カネと暴力の哲学』。政府は暴力機関であると定義する大胆な発想の社会解説本。

本書ではまず「国家は圧倒的な暴力を合法的に使える唯一の存在であって、これまで暴力の権利を駆使してきた」と定義されます。まるで反政府主義者による、無責任で破壊的な内容の著作ではないかと思わせる記述から、この本の流れが始まりました。
ところが、政府は暴力装置である、というこの主張には一見驚かされるのですが、実はこれは逆説的な論理。あくまで現代社会を構築する資本主義の実態を説明した話の一部なのです。即ち、その「政府・国家の暴力」によって経済活動が回り、労働が賃金に替わる仕組みが築かれて、あるいは弱者にも社会保障という形で富が配分されるという社会構造が出来上がっていることの説明なのでした。
資本家が労働や資本を独占してそれをどう生かすか、その活動を政府・国家がどう見守るのか、という流れで資本主義を解説するという珍しいタイプの解説本。教科書には載せられない危険で乱暴な言葉選びなので第一印象ではとっつきにくいですが、全貌を理解すれば興味が持てました。