僕らが作ったギターの名器 椎野秀聰:ギターづくりのプロの魂が分かる本
著者は日本で有数のギター作りのプロです。主にギター設計とギターのプロデュースに関わって来た人です。有名なエレキギターである「マッドキャット」など、多くのギターを世に送り出しています。
サウンドデザインというコンセプト、ギターの歴史、エレキギターの進化、エレキギターやアコースティックギターの素材、ギター作りの展望など、ギター作りの「現場」でギター作りを追求した人ならではの記述がちりばめられています。事実をもとにした記述は説得力があり、一気に読める本だと思います。アマチュアとしてギターに親しんでいる人も、実際にギター作りをしている人も、クリエーティブな現場やつくり手の思いを知りたい人にも読み応えのある本だと思います。ギターの材料である「木材」一つにしても、大きく音に関わっていること、塗装の塗料の種類の違いで音が変わるということなどにも詳細に触れています。どんな小さいパーツにも目を向けて来た人ならではのこだわりは、常に「いい音」を求めているからだと理解できます。プロの目、耳がいかに鋭い感覚かと驚きます。勉強になる一冊です。