悪医 久坂部羊 末期ガン患者と医者
久坂部羊さんは現役ドクターの小説家です。医療小説をかかれているのですが、それがやはり現役ということもあってリアルなのです。末期ガンが治ると思ってる男と、それを治らないと宣告したドクターの葛藤が描かれています。最初に余命宣告をされてから決別するのですが、それから2人は交わることはありません。
それぞれの葛藤が淡々と描かれていくのです。これを読む前にちょうど母がガンになったのでより親近感が湧きました。自分は生きることができる、なんとか方法を探る様がなぜか自分の身に降りかかったように感じることができます。また、ドクターはガンにかかってないから、どこか客観的といえば響はいいですが、他人事感があります。けど、その他人事感はガンになったことのない人全てに言えるでしょう。しかし、その患者が気になって格闘するのです。また、最後の収め方がとても素晴らしいのです。自分のことで葛藤しててくれたとわかったガン患者、どうしたらよかったのかと葛藤する医者の思いがきれいに収められ涙なしでは読めませんでした。