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感想・書評『ヴァニシング・スターライト2・時田とおる』ネタバレ注意「アーティスト集団SoundHorizonの同名マキシシングルCD」(レビュー)。 #読書

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小説 ヴァニシング・スターライト2 時田とおる 明日も燃える勇気をくれた

アーティスト集団SoundHorizonの同名マキシシングルCD「ヴァニシング・スターライト いずれ滅びゆく星の煌めき」を原作とする、小説版ヴァニスタ。
コミック版で省かれていた出来事や、キャラクター達の心情が丁寧に描かれており、読み応えのある一冊だった。

バンド活動に行き詰まっていた主人公ノエルが、異世界から来たと言う謎のプロデューサーRevoにプロデュースされるシンデレラストーリー。
ノエルはフランス人の父親と日本人の母親の間に生を受けるが、父は死に、母はノエルを己の母に預け失踪してしまう。
そんな(ノエルの言葉を借りるなら)「クソ最低」な出来事から始まり、祖母も亡くなり親戚にたらい回しにされ、学校ではいじめられ、彼は人を信じられなくなっていた。
不器用な彼が唯一手に入れた武器、音楽を通じて周囲と向き合い、自分の殻と最低な世界をロックにぶっ壊す生き様に心を打たれた。
原曲を聴いているだけでは理解し得なかった、彼の苦悩と努力が文章を通じて不思議と音楽として伝わってくるような気がした。
これを読む際は、是非一緒にCDを視聴していただきたい。

2巻はノエルを取り巻く、彼を支える人々が印象的だった。
二人三脚で挑むマネージャーの市蔵は勿論、ノエルを応援する三人の個性的なライター達も「父親」「親友」「恋人?」のようなポジションで登場する。
強い言葉で彼らを傷つけてしまうこともあったが、ぶつかる度に良いハーモニーを奏でる彼らのやり取りは羨ましい。
ノエルがそうだったように、案外周りに味方はいるが気付かないものだ。

社会に出たばかりで、会社の人々とぶつかって傷ついていた自分にとって、ノエルの人生という歌は眩く熱い星のように思えた。
「生きてるなら燃えてやれ」
彼のデビューシングル「よだかの星」の最後のフレーズが、小説を読み終えた時に響く。
明日もまた、私は人生を輝かせる星として、その魂を燃やせるだろうか。