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感想・書評『医学の勝利が国家を滅ぼす:里見清一著』ネタバレ注意「患者の治療成績は向上したといわれていますが、その反面、治療のコストが上昇」(レビュー)。 #読書

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「医学の勝利が国家を滅ぼす」里見清一著 タイトルからして強烈でした。

医学が進歩したことにより、患者の治療成績は向上したといわれていますが、その反面、治療のコストが上昇していることは否めないのが、現在の国内の状況です。確かに、金銭面での負担が或る程度重くなったとしても、助かる生命が多くなるのは良い様に思われます。

ですが、そのコストが2割増しや3割増しといったものではなく、100倍にも膨れ上がった場合、誰がそれを支払うのか?といった点が問題になります。現在も薬の値段はハイパーインフレの状態が継続していますが、これは、単に製薬会社が暴利を貪っているのではなく、医学の勝利だからではないかと、本書では読者に訴えかけています。医療コストからも目を背けることなく、そして、医療の目標とは何かについて前半で述べられていますが、それだけでなく、第2章の「裏から眺める医療論」では、近年話題になっているセカンドオピニオンについても問題視しており、こういった風潮にも警鐘を鳴らしています。また、医療関係者のミスについても庇ってしまうことについての記述もあり、興味深いです。特に、病院は患者の為でなく、医者やナース、その他の職員の為にあるといった記述があるのは、それなりの理由が述べられており、理解し易いと思います。最後に著者と作家の曽野綾子さんの対話が掲載されています。人生九十年と言われている昨今において、90歳位の方のうち、どの位の方が健やかに過ごしているか、そして、延命治療的なものがどこまで必要かについて、挙げられていますので、今後の医療や自分自身の生き方を考えていらっしゃる方には指針になると思います。