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感想・書評『美しい星:三島由紀夫』ネタバレ注意「戦後から70年代ごろまで日本ではSFも流行していた」(レビュー)。 #読書

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【美しい星】【三島由紀夫】純文学SFの金字塔

三島由紀夫は純文学作家でありながらもエンターテインメント(大衆文学)も書いていた。
ようはプロの作家でもあったわけだが、三島由紀夫が作家として活躍をしていた戦後から70年代ごろまで日本ではSFも流行していた。
そのなかでも三島由紀夫の「美しい星」は登場人物が火星人だったり金星人だったりする変わったSFだ。
だって外見や生まれ自体は地球なのだから、どう考えても地球人だし、人間だろう。
この自意識が宇宙人化することで、突然世界を救おうとする一家の顛末を描いたのが「美しい星」なのだけど、三島一流のSF観が見え隠れする。要するに無駄に論理的だったり合理的なのだ。
一見突拍子もない設定に意味や理屈(屁理屈の場合もある)をつけて、話がつながっていくのが三島由紀夫の小説の特徴で、最後にSFというか哲学・宗教的な内容の「豊穣の海」につながるのだろう。
読んでいて不思議なのは何故、SFが純文学化すると世界を救おうとしたり地球を救おうとしたりするのだろうか。安部公房の「箱舟さくら丸」も近未来風で大体世界が滅びそうになっているし。いつかSFでも極限状態じゃない小説が誕生するのだろうか…。
どうで「美しい星」は面白いので皆さん読んでください。映画化もされていますよ。それでは。