筒井康隆『残像に口紅を』は興味深い
アメトーーク!でカズレーザーが紹介していたこの一冊、気になったので買って読んでみました。
この小説は、世界から言葉が一音ずつ消える中、小説家の佐治勝夫が生活する、というお話です。あ、が消えれば愛やあなた、という「あ」がつく言葉は存在も概念すらも消えていくという世界線、その中で妻や娘の名前が消えると存在も無くなり、何となくの残像しか残らない、というストーリーです。
物語の最後の方はもう言葉が残っていないため、文章で話すことができなくて単語しか並べられず、ドキドキや焦燥感が相まってスピード感が凄かった。ページをめくる手を全然止められないのだ。疾走感が半端ではない。本当に読む手を止めることが出来ない。
もしわたしがこの世界へふと迷い込んだとしても、悲しい事に貧弱なボキャブラリーしか持ち合わせていないのできっとこの世界じゃ生きていけないなぁ。
最後にほんの少しネタバレをすると、「あ」が最初に消えたから、おそらく最後に消えるのは「ん」だと思ってたから本当にそうなって笑ってしまった。