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感想・書評『不時着する流星たち:小川洋子・著』ネタバレ注意「実在した人物や事象をモチーフに、それを物語に落とし込んで描かれた10の短編が収録された一冊」(レビュー)。 #読書

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「不時着する流星たち」 小川洋子・著

実在した人物や事象をモチーフに、それを物語に落とし込んで描かれた10の短編が収録された一冊です。高校生くらいの頃によく読んでいた小川洋子さんの小説ですが、最近はご無沙汰だったので久々にこの独特な世界観に触れ、うっとりとその余韻に浸っているところです。
第四話の「臨時実験補助員」は、その昔『妊娠カレンダー』を読んだ時のなんとも言えないもやもや感を思い出しました。授乳や赤ん坊についてがメインテーマで語られているのに、最後まで肝心の赤ちゃんは姿を見せないことに、消化不良のような苦い後味を覚えます。同じく母親が主人公である第七話「肉詰めピーマンとマットレス」は、子を持つ母として一番感情移入してしまいました。息子Rを想う愛情が痛いほど胸に迫ってきて、ラストでは思わず涙が出ました。オリンピックの開催と並行して進んでいく語り口も素晴らしかったです。
まるで清潔で冷たい理科室のような、美しくも不気味な幻想世界に触れ、貴重な読書体験ができて満たされた気持ちになれました。