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感想・書評『セザンヌの地質学:持田季未子著』ネタバレ注意「近代絵画の父の土台を探る一冊」(レビュー)。 #読書

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セザンヌの地質学 持田季未子著。近代絵画の父の土台を探る一冊。

「あの石の塊は火だったのだ、まだ中に火を秘めている」近代絵画の父ともいわれるセザンヌ(1839~1906)は、来る日も来る日も燃えるような目でその山を見つめ、画架を立てて向き合っていた。

彼は、故郷南仏の名山サント・ヴィクトワールを生涯描き続けたが、そのまなざしは、「地質学的な土台」に、山が「どのように根をおろしているか」に注がれていた。数千万年の時間を内包し、それでいて生まれたてのフレッシュさに満ちた姿。火山ではないが、今も炎を噴き上げそうな力動感。

長遠な「地質学的時間の尺度」で見れば、風景の中の人口物に還り混然一体になる。物の表層を超え、スザンヌが探求し続けたサント・ヴィクトワールは、そんな「土台」の上にある。「セザンヌの絵は宇宙的エネルギーに満ちている」と著者は言う。「彼は、今の瞬間に死にかつ生まれる世界を、なんとかしていた。

世界のそういう実相を認識した上で調和を見つけ、秩序を見つけ、最も適切な表現を与えようと努めていた」と。サント・ヴィクトワール山の絵に、色彩と構成、感覚と知性の融合を見出した刺激的論考な一冊です。