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感想・書評「西鶴と浮世草子研究vol.5(原道生・河合眞澄・倉員正江 編)」ネタバレ注意・最終巻のテーマは芸能、浮世草子に芸能の影響が(レビュー)。 #読書

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『西鶴と浮世草子研究vol.5』(原道生・河合眞澄・倉員正江 編):異色の研究冊子、堂々の完結

『西鶴と浮世草子研究』の最終巻のテーマは芸能。江戸時代は歌舞伎・人形浄瑠璃・見世物といった数多くの芸能が花開いた時代でもありました。当然、同時代の井原西鶴の作品や浮世草子にもその影響が見られるはずです。

本書では井原西鶴と浮世草子に芸能の影響がどの程度見出されるのかを丹念に洗い出しています。現代では芸能が文学に流れ込むよりも、文学が演劇などの素材になることの方が多いので、ちょっと意外な感じがします。文学と芸能のメディアミックスのあり方は想像以上に多様なあり方をしているのかもしれません。また、『西鶴と浮世草子研究』は本号で最終巻となっており、巻末に研究者が国文学研究と研究メディアの未来について語っています。研究者が語る言葉はどれも研究を取り巻く環境が悪化していることを指摘する内容ばかりです。しかし、『西鶴と浮世草子研究』のような研究者の確かな知見と斬新な企画が結びついた書籍が1つの突破口になる可能性は十分にあります。研究者の方は世間の逆風に負けずに頑張ってほしいです。