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物語はきりこの愛猫である「ラムセス2世」によって語られる…感想・書評「きりこについて:西加奈子」ネタバレ注意・(レビュー)。 #読書

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パンチがすごい!「きりこについて」西加奈子

「きりこは、ぶすである」から始まり、いかにきりこがぶすであるかの説明が続き一気にきりこに引き付けられる。100人に尋ねたら恐らく100人が「ぶす」と言うほどのぶすらしい。この物語はきりこの愛猫である「ラムセス2世」によって語られる。

きりこは生まれた時からぶすであるが、両親が「可愛い可愛い」と愛情をかけて育てたため、自分は可愛いのだと信じて疑わない。しかし初恋の相手から「ぶす」と言われたことで彼女の人生が変わる。ぶすと言われてから一時はひきこもりにまでなったきりこが、可愛いとはなにか、ぶすの定義とは、自分と向き合い、大人になっていく物語。前半がひたすら「ぶす」が続く内容でついくすっと笑ってしまうエピソードもあるのだが、後半は容姿に対する世間の偏見への彼女の悲しみ・怒りが猫のラムセスを通じて感じられ、その対比が面白い。見た目という入れ物にとらわれず、周囲の人間を変えていくきりこはとても強い。自分が自分でいることの難しさと大切さを教えてくれる。