山岸凉子「テレプシコーラ」信じられないラストに涙が出ます
1位 山岸凉子「テレプシコーラ」
(内容紹介)篠原六花・千花の姉妹は母親がバレエ教室を主宰していて、やはりバレエを習っています。特に姉の千花はプロのバレリーナを目指すエリートです。そんな二人の前に、劣悪な家庭環境に育ちルックスは劣っているものの脅威の身体能力を持つ空美という少女が現れます。
(感想)第一部・第二部の2部構成になっています。主たる内容は第一部になりますが、第一部を終わりまで読んで千花の悲しすぎる運命に泣かない人はいないと思います。第二部は、消化不良な終わり方のようにも感じますが、1バレリーナの非常にドラマチックな運命が感じられます。
(おすすめな理由)ダンスをとりあげたマンガや映画が好きなのですが、山岸凉子の絵は非常に的確にバレエの美しさを表現していると思います。元々山岸凉子が好きで、ストーリー展開の残酷ともいえる冷たい線にいつもため息が…甘さは全くありません。夢の世界ではなく、飽くなき現実の中での人間の心の動きや物語を、冷静にじっくり読みたい人にはおすすめです。
2位 鈴ノ木ユウ「コウノドリ」
(内容紹介)孤児だった産婦人科の別の顔は、ピアニストの「ベイビー」。出産にまつわるいろいろなケースを物語化しています。
(感想)妊娠・出産した時期にちょうど連載が始まったので、評判も良かったので読むようになりました。自分の子供は無事に産まれたけれど、それは当たり前のことではないんだなと感じました。
(おすすめな理由)産婦人科も絶賛しています。妊娠・出産は楽しいこと、幸せなことだけではなく、時には死と隣り合わせの出産も多くあります。命の大切さを思い出したい時に読むと良いマンガです。
3位 山岸凉子「アラベスク」
(内容紹介)ノンナはソビエトで、バレエ教室をやっている母と、秀才の姉の間で劣等生としてバレエをやっている長身の少女。ある日バレエのテストに寝坊・遅刻して困っているところに、後々最高のパートナーとなる天才バレリーノのユーリ・ミロノフと出会います。
(感想)1位と同様、ダンスを取り上げたマンガや映画、山岸凉子が好きで、まずバレエマンガとしてはこちらに出会いました。ノンナが成功するまではよくある成功物語ですが、その後ノンナが正統なクラシックバレエの素晴らしい踊り手と誰からも認められるまでの苦しみ・葛藤を描いたところが、希有なマンガだと思います。
(おすすめな理由)とにかく絵が美しい。バレエをこんなに美しく描ける漫画家は山岸凉子しかいないのではないでしょうか。後半になるにつれて絵の洗練のされ方は半端無く、そして洗練されていったのは絵だけではなく、ストーリー展開や人物たちの心のこまやかな動きの表現も、本当に見事だと思います。