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感想・書評『恋歌:朝井まかて』ネタバレ注意「明治の歌人、中島歌子の半生」(レビュー)。 #読書

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「恋歌」 浅井まかて 明治の歌人、中島歌子の半生。

明治の歌人中島歌子の半生。
幕末期、歌子こと登世は水戸藩天狗党の志士、林以徳のもとに嫁いで来たが、水戸の財政の厳しい武士家族の暮らしぶりや以徳の妹てつ殿に受け入れられないギクシャクした関係に慣れない生活をすることに。実家からお付きで共に来た爺やの清六が登世の心を和らげてくれます。
水戸藩は二分しており尊王攘夷運動に決死で向かった天狗党。それが原因の諸生党との内乱、取り巻く歌子や周りの心情、そして勃発した藤田東湖率いる築波山での「天狗党の乱」。
その後の歌子の牢獄生活が描かれている作品です。
牢獄での生活は「死」と隣合わせの場所であり容赦なく処刑される天狗党党首、武田耕雲斎の家族、生きる希望を無くし自死する者が後を絶たず死ぬことだけは避けて欲しいと思いながら読んでしまいます。
未来の歌人らしい、その時の気持ちに沿った古歌が織り込まれていたり百人一首の崇徳院の句「瀬をはやみ〜」が以徳に出会った頃から晩年の歌子の言葉にまで出てきます。夫、林以徳を想う歌子の気持ちが常に描かれています。
桜田門外の変で井伊直弼を襲った大半が水戸藩士。この事件もキッカケの一つと改めてこの小説を読んで知りました。無知なことに数ある歴史の戦いの中であまり聞くことのなかった水戸藩の内情。
華やかな歌人人生の奥底に秘められた想いの作品です。