『西鶴と浮世草子研究vol.2』(高田衛・有働裕・佐伯孝弘 編):日本文化と怪異
本書は研究者と一般人の両方が楽しめる研究冊子を作るという企画の第2弾です。テーマは怪異となっており、怪異に関連する井原西鶴の作品と浮世草子の諸作品に関する気鋭の論考が集められています。しかし、私のような素人が気になるのはやっぱり企画。
前号の林望氏・見城徹氏のインタビューに引けを取らず、今回のインタビューでは妖怪研究の第一人者である小松和彦氏が妖怪に対する熱い思いを語り、一時期ブームとなった「稲生怪談」の主人公・稲生家の子孫へのインタビューが掲載されています。さらに、今回の企画はインタビューだけではなく、江戸時代に有名だった全国の怪異スポットを関連する物語とともに紹介しています。この怪異スポット紹介は現代と古典文学のつながりを知ることができる意味で、非常に興味深く読ませてもらいました。こういう観光と古典文学のコラボレーションが進むと、もっと古典文学が身近になるのにと思います。『西鶴と浮世草子研究』の2冊目も本当に楽しんで読める研究冊子でした。今回は怪異という身近なテーマなので、とっつきやすいのではないでしょうか?