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ナカノちゃんねる

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感想・書評「悪意の手記:中村文則」ネタバレ注意「屑として生きることを決意する」という矛盾(レビュー)。 #読書

寄稿 小説
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「悪意の手記」中村文則―「屑として生きることを決意する」という矛盾

中村文則の本を買うのはこれが初めてでした。
なんだか暗い本が読みたいなあと思いつつ本屋をうろついて、新潮文庫の棚をぼんやりと眺めていたときふと目についたのがこの「悪意の手記」の文字。
「人殺しでありながらそれをものともしない人間の屑として生きることを決意する―」文庫裏の説明の一文からすでに滲む矛盾、そしてその葛藤は、主人公が手記として綴る本文の隅々からも感じられました。

作中で主人公が「あなたは悪いことをする人間じゃない」と言われる場面があります。
わざと悪いことをしているように見える。
その明らかな人間味、そんな心理は、自分にも覚えのある感情ではないかと思います。
屑になれないから彼は葛藤している。
主人公に対するそんな印象は読者にも明白で、だからこそ彼の心理的な葛藤を、ただの好奇心だけの感情ではなく読み進めてしまう。

本書は手記1~3として構成されますが、物語の展開というよりも、どこまでも自分の感情と行動に向き合う主人公の様子が読みどころではないでしょうか。