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感想・書評「時間の比較社会学:真木悠介」ネタバレ注意・誰しも時間を大事にしなさいと言われたことはあると思います(レビュー)。 #読書

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『時間の比較社会学』(真木悠介)は時間の思い込みを壊してくれる

誰しも時間を大事にしなさいと言われたことはあると思います。その根底にあるのは「時間は全てを消滅させる」「人生は短く、はかない」「有限な存在はむなしい」という思いではないでしょうか?『時間の比較社会学』はこの3つの思いを永遠を基準にしたために起こる思い込みだと看破します。

さらに近現代の人々は無意識のうちに永遠を基準にした時間感覚を持っていますが、それは人間の歴史の中では極めて異質なものであることを様々な民族や文学作品を紐解いて明らかにしています。難解な本ではありますが、時間を一方通行や円環するものと考えるのは時間の一面でしかなく、実際には時間の捉え方はもっと多種多様なのだと気づかせてくれますし、同時に近現代の時間に対する思い込みから解き放たれる快感を味わえます。「どうせ時間が経ったら全てが無になる」という皮肉的な見方が時間に対する不理解から来ているのだと分かりました。久しぶりに目の前がパッと拓けるような感覚を覚えた学術書でした。