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感想・書評『ぼぎわんが、来る(澤村伊智)2018年12月 映画が、来る』ネタバレ注意「作者はすごい。文字だけの表現、という小説の強みと弱点を最大限に生かしている」(レビュー)。 #読書

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この作者はすごい。文字だけの表現、という小説の強みと弱点を最大限に生かしている。得体の知れぬ化け物に恐怖していたはずなのに、突然恐怖の対象がひっくり返る瞬間がある。映画館でホラー映画を見て楽しんでいたらなんと見ている自分がお化けだった、そんな感覚に陥ってしまう。
あれがきたら答えてはいけない、というのは昔話に出てくるおなじみの設定だ。化け物サイドも人ゆえの弱さを巧みに利用するので、結局人は化け物に答えて招き入れてしまう。そこが恐怖の始まりのはずだった。しかし物語が進むにつれて別の恐怖が顔を出してくる。せっかく出来上がってきた世界観、常識がパラパラと崩壊を始める。怖い。怖いけど化け物もちゃんと仕事をしている。登場人物は逃げねばならない。普通の人達と、特殊能力で化け物と対峙する人達がでてくるが、気がついたら普通ってなんだっけ?と自分を疑い始める。読者は読んで作り上げてきた自分の世界を疑いながら、化け物から逃げる登場人物を見つめるのだ。映画も楽しみだが、この色彩豊かな恐怖はぜひ小説で味わってほしい。