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感想・書評「幽冥食堂「あおやぎ亭」の交遊録」 篠原 美季・ネタバレ注意「死んで体から抜け出る魂を体に戻す力をもつ半井戸結人」(レビュー)。 #読書

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死んで体から抜け出る魂を体に戻す力をもつ半井戸結人(なからいゆいと)が、その力の存在を認識し、「あおやぎ亭」の主人である篁(たかむら)とともに、現代に悪霊となって災いをなす長屋王を鎮めるストーリーです。

篁(たかむら)は平安時代に生きていた小野篁本人という設定で、閻魔大王も登場します。閻魔大王は、実は若い美青年という設定になっています。私たちが考える閻魔大王や小野篁のイメージを作者は思いっきりユーモアを持ってくつがえしてくれます。小野篁が自分が体験したこととして、有名な過去の歴史的人物などのエピソードを語る場面もおもしろいです。冥府を設定し、そのなかでは中国風のキャラクターも登場します。日本神話や日本神道をたくさん物語に挿入して日本の呪術系の歴史の変遷についての作者の視点からみた描写もとてもおもしろかったです。オカルトやファンタジー方面に強い作者のコメディチックな話の流れにどんどんページが進みます。新シリーズの最初の作品とのことですが、作者の資料収集とそれの作品への投入にエネルギーを感じました。つぎの作品が楽しみです。