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感想・書評『陋巷に在り1・儒の巻/酒見賢一』ネタバレ注意「解りやすく言えば「スラム」、つまりは貧民街のこと」(レビュー)。 #読書

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『陋巷にあり1』儒の巻/酒見賢一

中学校や高校の漢文の授業では、必ず儒教という思想を開いた孔子を習い、また、孔子が書いた『論語』について学びますが、その中に時々登場する孔子の一番弟子顔回(顔淵とも)がこの本の主人公です。

タイトルの「陋巷」とは、解りやすく言えば「スラム」、つまりは貧民街のこと。顔回は、孔子の門弟3,000人のうち最も優秀と言われながら、どの国の役人にも仕官せず、生業にも就かず、貧困の生活を続けながら、ひたすら勉学に励んだと言われますが、その生活実態は極めて謎の人物です。
その謎の部分を埋めてくれるのがこの本で、儒教の「儒」とは雨乞いや葬式儀礼を知悉した巫祝(祈祷師)のようなものであるとか、学校では教えてもらえなかった『論語』の背景が詰まっています。
昔の人は、魂魄とか、鬼とか、目に見えない死者の世界のものを仮定して、この世とあの世を結び付けていました。そういうものは現代では科学的根拠がないと切り捨てられてしまうのですが、現代科学でも解けないものはまだまだ多いわけですし、逆に昔の考え方の方が物語として豊かな気がします。
なんとなく日本の陰陽師のような世界観で、孔子以上に弟子の顔回が大活躍します。