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感想・書評『この世界にiをこめて:佐野徹夜』ネタバレ注意「小説を執筆している人が読めば、誰しもトラウマになる作品」(レビュー)。 #読書

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この世界にiをこめて:佐野徹夜 : 小説を執筆している人が読めば、誰しもトラウマになる作品

小説好きだった主人公・染井と、染井の女友達である吉野紫苑という天才小説家の物語です。
吉野は半年前に亡くなっており、染井はそれをきっかけに小説に関わることをやめてしまいます。しかしある時から、亡くなったはずの吉野からメールが届くようになり、惰性で高校生活を送っていた染井の生活に変化がもたらされ、やがて彼は小説と向き合うようになる、というお話です。
この吉野という女の子は、価値観が他人とずれているために学校生活に馴染めず、唯一のいきがいである小説ばかり書いている子で、やがて中学生で小説家としてデビューします。彼女は編集から次回作のテーマとして恋愛小説を書くように提案されますが、恋や愛を知らない彼女にそれを書くことはできず、思い悩むようになります。やがて彼女はスランプに陥り、他のどんな小説も書けなくなってしまいます。そんな中、彼女と同じ中学の文芸部員である染井が、彼女の作風を完全にコピーして恋愛小説を書いてしまいます。吉野というキャラクターの存在意義は全て奪い去られ、結果、彼女は自殺してしまいます。この一連の流れが、小説を書く人にとっては吐き気を催すほどに残酷で、記事執筆者である私も人間とはここまでひどいことができる生き物なのか、と改めて思い知らされました。