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感想・書評『風紋・上巻 乃南アサ・著』ネタバレ注意「殺人事件の被害者家族、再生の物語」(レビュー)。 #読書

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「風紋」 上巻 乃南アサ・著 殺人事件の被害者家族 再生の物語

なんともやりきれない物語です。ごく普通の主婦が殺されます。作者は丁寧にこの物語をつづっていきます。
だんだんと表れてくる、なぜ殺されたのかの謎・・母に反抗して家庭内暴力をふるう浪人中の長女。ごく普通でまじめな高校生の次女。家庭を顧みない父。
ばらばらだった家族が、母親を殺されたことによって、まとまっていきます。殺人犯は娘たちが通っている高校の教師・・
周囲の親戚までを巻き込んで、一つの殺人事件の波紋は大きく広がっていきます。加害者の家族も存在を脅かされ、今までの暮らしができなくなります。
日々起こっている殺人事件の一つを丁寧に取り上げることで、いかにまわりが変わっていくのかが、ていねいに描きこまれています。
物語の主軸は、被害者の次女です。一番大きな傷を受けたのは、この次女でしょう。新聞記者の青年が、この少女の成長を見守ることになります。
大きく傷ついた次女の危うさが、とても気になります。一番傷つきやすい年頃で、母親をなくすのは、とてもつらいことだと思われます。