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感想・書評『女帝 わが名は則天武后:シャン・サ著』ネタバレ注意「中華史上唯一の女性の皇帝であり、激動の生涯を送った」(レビュー)。 #読書

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「女帝 我が名は則天武后」 シャン・サ著

最近海外ドラマの「武則天」にはまっている為、則天武后の生涯を詳しく知りたい、と思い、彼女を描いた作品で特に評価の高い
本書を読みました。
最高でした。中華史上唯一の女性の皇帝であり、激動の生涯を送った則天武后。
余りに非凡過ぎる破格の人生ゆえ、ともすれば熱の入りすぎた筆致になってしまいそうですが、本書では運命に選ばれた一人の女性の喜びや悲しみ、希望や絶望が
静かに、しかし余す事なく描かれています。
詩的で美しく、淡々とした文章が、父帝とその息子の皇帝の二帝に側室、皇后として支え、夫と息子から権力を託され、ついには皇帝へとのぼりつめる彼女の
苦悩や激しさ、孤独を引き立てていました。
著者は天安門事件の後フランスに渡った中国人で、著作は全てフランス語で書かれており、本書はその日本語訳です。
その為主人公とちょっと距離を置いた様な、俯瞰で見ている様な雰囲気があり、それが則天武后のシルエットをくっきり浮かび上がらせる、良い作用をしている様に感じました。
英語で作品を描いている日系英国人のカズオ・イシグロの日本語訳を読んだ時と印象が似ているな、と思います。
良い意味でのよそよそしさというか、心許なさの様なものに惹きつけられます。
本書で則天武后は、権力に取り憑かれた悪辣な女帝、というステレオタイプなものではなく、逆に美化し過ぎるものでもなく、
血の通った一人の人間として描かれています。
則天武后を描いた作品で、これ以上のものは無いのではないか、と思いました。