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感想・書評『眠れるラプンツェル:山本文緒』ネタバレ注意「リアルに非日常的できごとを描いた小説」(レビュー)。 #読書

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眠れるラプンツェル 山本文緒 リアルに非日常的できごとを描いた小説。

 忙しい旦那からは放置状態にされ、マンションの一室で孤独に過ごす専業主婦の女性を童話のラプンツェルに例えたタイトルは、内容を読み進めていけばいくほど秀逸だと感じた。

また、そのラプンツェルのような状態を、幸せと思い込もうとして苦しんでいる女性の姿は読んでいて辛さを感じた。中学生のルフィオが現れることで、女性の毎日は華やいでいき、やがて恋愛関係になるのだが、上手くいくはずがないと分かっていてものめりこんでいってしまう女性の姿がとても切ない。また、年の差で、既婚女性と中学生男子の恋愛など倫理的に許されるはずはないのだが、この二人の恋愛を山本文緒はきわめて純粋で綺麗に描いていて、読む分には案外すっと受け入れられてしまう。特に、ルフィオの中学生男子らしい純粋さと可愛らしさが女性の孤独を溶かしていくようすは、読んでいて心が温かくなった。もちろん山本文緒の書いた小説であるからして、マンションに住む女性同士のリアルでドロドロとした心理描写は当然あるが、そうした中で二人のシーンは輝いていてこの小説を読む上での救いになっている。