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感想・書評『ドルフィンエクスプレス1巻/竹下文子』ネタバレ注意「上司に嫌味を言われて落ち込む児童文学の主人公って他にいるでしょうか」(レビュー)。 #読書

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ドルフィンエクスプレス1巻/竹下文子

擬人化された猫が活躍する児童文学シリーズです。文体は10歳前後の子供から読めるように書かれていますが、この物語はかなり異色です。児童文学と言えば、ターゲットと同年代の主人公が夢を追いかけたり、道徳を学ぶ構成が多いですが、どれも当てはまりません。まず、主人公のテールは大人です。
(孤児なので実年齢は不明ですが推定20代)普通に働いて生計を立てています。タイトルは彼が務める運送会社の名前です。しかもこの会社、現実の運送会社ほどではないですが、若干のブラック企業。上司に嫌味を言われて落ち込む児童文学の主人公って他にいるでしょうか。
また、この物語は大きな夢を追うのではなく、大きな夢を失った後の人生を現実的に豊かにするには、というのがテーマです。テールはヨットレーサーだったのですが、ライバル選手が突然引退したことにより目標を失い、ボートで配達をする運送会社に就職します。最終的にライバル選手と決着をつけることはできますが、普通ならレーサーに戻って終わるでしょう。しかし、テールは運送会社で働き続けることを選びます。大きな夢を持つ大切さを説く物語より、ずっと人生に大切なことを教えてくれる名作です。