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感想・書評『アイヌ神謡集:知里幸恵』ネタバレ注意「消えゆくアイヌの口承を何とか記録に残そうとして生まれた珠玉の一冊です」(レビュー)。 #読書

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アイヌ文化を伝える珠玉の一冊:『アイヌ神謡集』(知里幸恵)

北海道の先住民族として独自の文化を築いたアイヌ。しかし、アイヌは文字を持たなかったため、その文化はわずかにしか残りませんでした。『アイヌ神謡集』は大正時代にアイヌの血を引く知里幸恵氏が、消えゆくアイヌの口承を何とか記録に残そうとして生まれた珠玉の一冊です。

この一冊に収められた神謡には自然とともに生きる人間の姿が描かれたり、悪い神のイタズラを跳ね除ける英雄の話があったりと、在りし日のアイヌの人々がどのような文化を持っていたかを知ることができます。特に、良い神様と悪い神様がいて、悪い神様は人間の英雄に退治されてしまうというのは日本文化ではあまり見られない、珍しいパターンだと思います。本書は左ページがアイヌ語、右ページが日本語となっているので、アイヌ語を知らなくても十分に楽しんで読むことができます。アイヌ語に触れたことがある人はアイヌ語の文章やリズムを楽しむことができるでしょう。『アイヌ神謡集』を残した知里幸恵氏は惜しくも20歳でこの世を去りました。知里幸恵氏の伝えようとしたアイヌ文化をしっかり受け止めて継承していきたい。そんな気持ちにさせてくれる1冊です。