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感想・書評『日本国憲法の200日:半藤一利』ネタバレ注意「生々しい終戦直後の混乱」(レビュー)。 #読書

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生々しい終戦直後の混乱:『日本国憲法の200日』(半藤一利)

終戦70年を迎えて様々な戦争に関する本が出版されています。その多くは戦争を体験していない戦後の人が、歴史的に確定した事実について、自分の解釈を披露しているに過ぎません。はっきり言って「私の考える戦争」という読書感想文レベルです。

しかし、半藤一利『日本国憲法の200日』はそのような安っぽい本とは一線を画します。半藤一利自身の戦争体験とその背後で行われていた日本国憲法制定の動きを同時並行で描く本書は、1人の国民が体験した終戦という生々しさがあります。かつて皇国主義を叫んでいたにも関わらず、終戦するや否や、民主主義を叫び出す大人。極度の食料不足による闇市の勃興と餓死への恐怖。日本国民の大多数が生きることに精一杯の中で戦後日本が形作られていく現実。終戦直後の日本を歴史的な視線と個人的な視線を巧みに織り込んで書かれた本書ほど、終戦直後の日本人・日本国を描き切った本はないでしょう。『日本国憲法の200日』を読むと日本人がいかに「何も持たない民族」であるかが分かりますし、日本国憲法がアメリカの押し付けという理論が当時の時代状況やマッカーサーの行動・理念を曲解していることを実感するでしょう。戦後70年を超えた今こそ、読んでおきたい1冊です。