「星籠の海」(下)島田荘司著 探偵・御手洗の事件簿
上巻でたくさんの事件とたくさんの不思議が、出てきました。下巻では話がもっと広がっていきます。
江戸時代へとさかのぼり、瀬戸内海で活躍していた「村上水軍」まで出てきます。話の広がりに圧倒されます。
この作品の核心は、宗教団体を隠れ蓑にした「麻薬」の取引だとわかってきます。下巻のなかにいろいろな事件が絡み合って、結末に集約されていくのですが、それぞれの事件が一冊の本になるほどの複雑さです。
ミステリーを読むときは、これからどうなる?を推理しながら読んでいくのですが、この作品では全く想像できない展開になっています。
犯人が逃げ延びそうになりますが、逃げ場のないように追い詰めていく展開の、テンポの良さにぐんぐん引き込まれます。
思いもかけない「村上水軍」がらみの助けがあり、無事犯人を逃がすことなく、捕まえることができますが、ここに「星籠」の別の意味も分かってきます。
複雑で読み切るには大変な作品ですが、読み終えた後のヤッタネ!感は、すごいです。映画化された作品ですので、映画も見てみたいです。