人はなぜ依存症になるのか エドワード・J・カンツィアン マーク・J・アルバニーズ 既成概念を超えて
この著書の前書きで提示されるのは、どうして人間が依存という状況に置かれるのかという問いです。そして、答えを求めるのであれば、この著書は大事なヒントを与えるだろうと宣言しています。
14の章に立て分けられて、様々な角度から「依存」について考察しています。205ページの読み応えのある本です。繰り返し述べられるキーワードがあります。人間が抱える苦悩や精神的苦痛が依存症に伴っているという考え方です。精神的トラウマやPTSD、その他困難な精神的苦痛との関連を論じていきます。どのようなプロセスによって、人は「依存」という状況に自らを追いやるのか、それを実在する人物の人生の局面を記述しながら、その人物の中に見られる心理的側面にも言及します。同時に依存に対する社会的認識へのアンチテーゼが展開されます。それは社会的嫌悪感によって疎外されることにより、依存を抱えた人が問題解決のチャンスを失って行く様も同時に描きます。この著書で展開されているのは、依存症を理解するために必要な、心理学的な側面を備えた考え方です。