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「さくら荘のペットな彼女」鴨志田一:夢と希望と現実ネタバレ注意「夢も目標もなく平凡な男子高校生の物語」(レビュー)。 #読書

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水明学園。この学園には「普通科」と「芸術科」のふたつがあり、天才と凡人がともに学生生活を送っている。「一般」の枠から外れた人たちが暮らす寮・さくら荘での、夢も目標もなく平凡な男子高校生の物語である。
この手の多くのライトノベルでは、主人公の周りにたくさんのかわいい女の子がいて、ハーレム状態ではちゃめちゃしていくような、ただただ主人公がおいしい立場であるだけなのだが、「さくら荘」は違います。もちろんかわいい女の子はたくさんいますが。私もそうでしたが、高校生のころなんて何も考えてなくて言われるがままに勉強をしたりしなかったりして、部活をやって友達と遊んで、というのが普通だと思いますし、主人公・空太も同じです。ちょっとお人好しすぎるせいでペット厳禁である一般寮で拾った猫を何匹も飼ってしまうことからさくら荘に流されるのですが、ここで、生活能力皆無な天才画家・ましろに出会います。さくら荘にはほかにも住人がいて、声優、作家、アニメーター、SEを目指していたり、それらの天才だったり。様々な個性を持った仲間たちに出会い、空太も目標を見つけます。
空太は凡人です。天才のましろや他の登場人物とは違います。なので、せっかく目標を見つけても、それに向かう方法もわからないし、やってみたところで失敗するし。だからこそ、読み手である私がすごく感情移入できるものでした。必ず成功する、なぜかうまくいってしまう、そんなフィクションではありきたりの展開でなく、努力したのに報われない、悔しくて悔しくて仕方がない、そんな感情を描いた物語なので、私はこの本がとても好きです。特に好きなシーンは、夢を追いかけて田舎から出てきて必死で頑張っていた女の子が、これでダメだったら田舎に帰らされるというオーディションに落ちてしまって泣くところ、SEとしては天才なのだがコミュニケーションをとろうとしないために一度はチーム制作を諦めた男の子が、主人公と一緒にもう一度チームで頑張ろうとするところです。
夢のある中学生、高校生、夢を捨ててしまった大人たちみんなに読んでいただきたい本です。