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感想・書評・緑の庭で寝転んで 宮下奈都著。子育てと創作の喜び随筆集。ネタバレ注意(レビュー)。 #読書

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小説「羊と鋼の森」で本屋大賞を受賞した作家であり、3人の子の母でもある著者のエッセイ集。4年前、本書収録の連載エッセイを書き始めたとき、著者の一家は北海道の山の集落に山村留学していた。「絶景パね!」「神‼」と中学生の息子たちが声を上げたほどの大自然を満喫した一年間。学校は小中併置校で生徒は15人。

近くにスーパーもないが山の中の暮らしは「何もないのにいろんなことがあった」。ささやかなエピソードがとても豊かだ。「羊と鋼の森」は、調律師の青年が、迷いながらも一歩一歩成長していく物語だ。自然と音楽の美しさを感じさせる作品は、北海道の山での一年がなかったら決して書けなかったと著者は言う。今は故郷の福井で暮らしている。地元の温かさも随所に感じられる。本屋大賞の受賞も地元の人たちが喜んでくれた。「赤ん坊は完璧だ」「子供というのは種子みたいなもの」と思う著者の子育てには信頼と喜びがある。種子は生まれつき備わっている力で伸びていく。小学生だった娘は家庭科好きの中学生になり、長男は大学生なって家を出た。子どもも小説も、作家や親の手を離れ「想像より遠くへ」歩いていく。好きな本や創作の喜びについても語る。「人と響きあいながらも生きていきたい」「人が生きていく奇跡、しみじみとした明るさを書いていきたい」という。どこまでも自然体の文章は春の空気のように快いです。