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感想・書評『深紅:野沢尚・著』ネタバレ注意「力作です。父と母、幼い弟二人を惨殺された少女が主人公」(レビュー)。 #読書

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「深紅」 野沢尚・著 第22回吉川英治文学新人賞受賞作

力作です。父と母、幼い弟二人を惨殺された少女が主人公です。主人公は叔母の家庭に引き取られ、無事に成長して、大学生になります。
ただし誰にも知られていない「心の闇」を抱えたままです。「事件を知って帰宅するまでの4時間」が、何かの時によみがえってきて、動けなくなってしまうのです。
やはり酷い「トラウマ」にとらわれている主人公です。
殺人の加害者に同じ年の娘がいることがわかります。どうしても納得できない主人公は、その娘を突き止めて、言葉を交わすようになります。
時間がたつうちに、その娘もやはり「心の闇」を、抱えていることがわかってきます。加害者が被害者に騙されていたことを怨んで、犯行に及んだことなどもわかってきます。
始めは加害者の娘に「復讐」のようにして、殺人をさせるように仕向けた主人公ですが、最終的には、犯行を止めに行きます。
そんな不幸に巻き込まれた「娘たち」を、引き比べながら、この「悲惨な経験」から抜け出せる糸口が、少し見えてくるところで、終わりとなります。
二人の「娘たち」のそれぞれのこれからの暮らしを思いやる気持ちを抱えて、読了しました。深く考えさせられる物語です。