「バースデイ・ガール」 村上春樹・著
15年ほど前に出版された短編集の中に収録された作品の一つが、ポップなイラストで一冊の本になったものです。目をひく真っ赤な表紙の美しさに惹かれて手に取りました。中学校の教科書にも採用されたそうですが、私は未読だったので興味深く読みました。
ウエイトレスをしている主人公は、二十歳の誕生日だというのに仕事を休むことができず、鬱々とした気持ちで一日を終えようとしています。その夜ちょっとしたハプニングから、彼女は職場のオーナーの元へ食事を運ぶ任務をまかされることになりました。その後に起こる奇跡の物語は、幸福とは何かを読者に問いかけているようにも思えるのです。自分は二十歳の誕生日をどう過ごしていたのだろうと考え、幸せな記憶があることを思い出し、私の人生も案外捨てたものではないなと思えて一人ニヤニヤとしてしまいました。
そして、忙しさに追われて最近では誕生日をおろそかにしていたことを少々反省しました。この主人公の女性がどんな願い事をしたのか、私の乏しい発想力ではすぐには何も思いつかなかったので、少し時間をかけてこれから考えてみたいと思います。