「三鬼 三島屋変調百物語 四之続」 宮部みゆき・著
三島屋に居候する主人公おちかが、語り手を募って不思議な話の聞き役になるというシリーズ第4弾です。
今回も500ページ以上の分厚さで4作収録されています。百物語というからには100作まで目指すのでしょうか。まだまだ続きそうでファンとしてはとても嬉しいですね。
一作目「迷いの旅籠」で登場した幼さの残るおつぎちゃんが、しどろもどろになりながらも一生懸命に話す様子はなんとも微笑ましかったです。三作目の「三鬼」もそうですが、人間の業がどれほど恐ろしいものであるか、清く正しく実直に生きることがいかに大切であるかを改めて考えさせられます。二作目の「食客ひだる神」は失礼ながらなんて可愛らしい神様なんだ、と思わずクスッと笑ってしまいました。四作目の「おくらさま」では、お梅の死に際のシーンで泣きました。
利一郎との別れと古本屋の勘一との出会いがあり、黒白の間に閉じこもっていたおちかの人生も少しずつ動き始めたようですね。どうか明るい方向に進んでいってほしいと願わずにはいられませんでした。