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感想・書評『母性〈著者〉湊かなえ』ネタバレ注意「愛というものの存在について考えさせられる一冊」(レビュー)。 #読書

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母性〈著者〉湊かなえ:愛というものの存在について考えさせられる一冊。

 このお話の冒頭はとある女性が自分の娘が自殺未遂を図った疑惑があったことについて悩み苦しみ、神父との対話から自分を見つめなおすことによって始まっていきます。その女性は自分の娘を「能あたう限り大切に育ててきた。」と話していて、それはどうしてなのかと神父に聞かれてなかなか上手く返事が出来ずに困惑していました。

この女性一家が住む家が火事になった時に女性はタンスの下敷きになった母と娘、どちらを助けようとしたかというとそれは自分が大好きだった母だったのでした。女性は本当は妊娠当時から娘のことをなかなか愛せずにいたのです。母に気に入られるために娘を愛しているような行動を取ろうとしたするのですが、それがなかなかうまくいきませんでした。
 家が火事になりタンスの下敷きになった女性の母は命が将来に受け継がれていくことを最優先に願い、「孫を能あたう限り愛してやってほしい。」という言葉を残して、自ら舌を噛んで自殺を図り、女性に自分の娘を助けるように伝えました。娘の存在さえなければ大好きな母は生きていたのにと娘を心のどこかで恨みながら生活を送る女性一家の歯車はここから狂い始めます。実際、女性の娘の自殺企図の原因は自分の祖母が自分を助けるために自殺してしまったことをある日知ってしまったからなのでした。
 「能あたう限りの愛」とは非常に大げさな表現です。本当に愛しているならそんなに大げさな美化を伴う表現は実際必要ないものだと考えさせさせられる一冊でした。一見普通に生活しているように見えること、それがなかなか目には見えにくいけれど愛なのではないかとこの本を読んで思いました。