」で便利でお安く。「今昔奇怪録」 朱雀門出（すざくもんいずる）・著
第１６回日本ホラー小説大賞 短編賞受賞作です。「今昔奇怪録」を含めて５編の短編を載せています。
ホラーや、怪奇小説といえば「京極夏彦」を思い出しますが、彼のテイストを継ぐ作家になっていくのではないかと、思われます。
まだこれからの作家ですので、今後を楽しみにしたいと思います。
短編賞受賞作の「今昔奇怪録」は、不思議を集めた本に出会い、自分も不思議な体験をします。
本人はその気持ちはないのですが、その本を家に持ち帰ったことで、なぜか不思議話を集めていく役目を継ぐようになってしまった男の不思議話です。
「疱瘡婆（ほうそうばばあ）」は、猫が大店の旦那に乗り移るという怪奇譚です。この２作は、怪奇な話としてなかなか読ませる力がありますが、続く３作は、相当に好きな読者でないと、理解が難しく、あまり一般的ではないと思われます。
まだまだこれからの作家ですので、次回作を楽しみに待ちたいと思います。ふつうは怪奇小説という言い方をしますが、「今昔奇怪録」と名づけ「奇怪」という言葉を使っているところに、作者のこだわりを感じます。
