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感想・書評『異世界コンサル株式会社:ダイスケ』ネタバレ注意「物語はある男が冒険者を引退するところから始まります」(レビュー)。 #読書

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異世界コンサル株式会社 ダイスケ   一風変わった異世界立身出世物語

物語はある男が冒険者を引退するところから始まります。その男、ケンジは実は5年前に日本からこの世界にやってきた転移者です。突然剣と魔法のファンタジー世界に放り出されたケンジは金もコネもないことから冒険者となります。

そうして20代半ばから30代手前まで頑張ったものの、膝を悪くして冒険者ができなくなります。それでも食べていかなければいけないケンジは、日本にいたころのコンサルタント業を参考に冒険者向けのよろず相談を始めます。Webサイト「小説家になろう」に連載されている作品の書籍化になります。同サイトで連載されている多くの作品と同じようにある日突然異世界にやってきてしまった主人公のお話ですが、読んでいてまず気が付くのが舞台となる世界の過酷さです。ゲーム的なファンタジー世界というよりも、15~16世紀の中世ヨーロッパにモンスターが発生するようになったような世界です。そんな世界なので冒険者になるのは農民の次男、三男坊といった人間で新人の死亡率も大変高いです。そんな職業を5年間行い、膝を悪くしたものの生きているケンジはかなり幸運な部類の人間と言えます。そんな世界で冒険者を辞めたケンジは、駆け出し冒険者の買い物に付き合って値引き交渉したり経費の精算を行ったり、パーティーを円満に解散する手伝いをしたりすることで、冒険者時代以上の暮らしていくには十分な収入を得ることができるようになります。そうして生活に余裕ができたころからケンジの目的が『生活費を稼ぐ』ことから『冒険者の暮らしを少しでも良いものにする』に変わりました。冒険者のためにできることとしてケンジが始めたのは靴の製造販売です。この世界の多くの冒険者の冒険中の履物はサンダルで、駆け出しの実に4割が依頼途中の移動で足を滑らせて負傷しているというのです。冒険者時代のケンジは日本製の靴を参考に1月暮らしていけるだけのお金をかけて専用靴を作り愛用していました。ケンジはこれを何とか駆け出し冒険者全員が履けるようにしたいと考えるのです。このあたり普通のファンタジー作品というよりもビジネス系の立身出世ものに近いノリを感じます。作者曰く、将来ビジネス書を出すときの練習として本作品を書いたとのことで、異世界を舞台としながら企業の立ち上げから業界への新規参入、製品の量産化、会社の設立、現場作業者との話し合いや公営組織との折衝などビジネス書として必要な内容が分かりやすく書かれているだけでなく内容も面白いものとなっています。Web版のほうは現在では靴製造の事業をやりつつも農村向けの冒険者への依頼マニュアルを作ったり領地の代官に任命されたりと、おかしな方向に行っています。ただそれらもすべて冒険者の立場が少しでも良くなるようにと考えてのことです。ぜひ第2巻以降も発行してもらいたいものです。