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感想・書評『将棋の子:大崎善生』ネタバレ注意「プロ棋士を目指しながらもプロになることができなかった人々がその後、どのような人生を送っているのか」(レビュー)。 #読書

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夢破れた者はどこに行く?:『将棋の子』(大崎善生)

羽生善治・森内俊之・藤井聡太。将棋を知らなくても、この3人の棋士の名前は知っているという人がほとんどだと思います。しかし、彼らの影で生きているプロ棋士、そしてプロ棋士になることすらできなかった人々がいるのも事実です。

『将棋の子』はプロ棋士を目指しながらもプロになることができなかった人々がその後、どのような人生を送っているのかを辿るドキュメントです。その内容は決して明るいものではありません。プロ棋士になる夢を生きがいとしてきた人がその夢を断たれた時、その人は将棋しかやってこなかった人に成り下がります。彼らを待ち受ける現実は甘くありません。実際、経済的・社会的に恵まれた生活ができている人はほとんどおらず、厳しい人生を送っているのです。しかし、本書に登場する人達は将棋に打ち込んだことを後悔していません。これがこの本の唯一の救いのように思いますし、何かにひたすら打ち込んだ人間だけに許される気持ちなのだと思います。プロになる厳しさ、プロになれなかった者を迎える社会の冷たさ、そして夢破れた者の末路。何かのプロフェッショナルを目指す全ての人が「自分もこうなるかもしれない」と考えながら読むべき本だと思います。