」で便利でお安く。ブライアン・スウィーテク『移行化石の発見』。進化を信じない人向けの、化石と進化の話。
進化における仮説を化石により実証した「事例」が多数紹介され興味深く読めました。古生物学上は、「生物の化石を発見し、それをもとに進化の流れを知る」という研究方法のほかに「先に進化の流れを推測し、それを実証できる化石を探す」という順序の研究も存在します。
本著には、後者の研究が実証に至った例がいくつか紹介されているのです。化石の写真が多く、また、こんな些細な点から百年以上も存在した仮説が正しいと分かったなど、気の遠くなる思いを感じました。
一方で進化における「主張」も収録されていますがこちらは一般論が多く、「進化は必然の結果でなく、偶然の要素も多い」という説をなぞっているだけに過ぎませんでした。なぜわざわざ分かりきったことを再度説明するのか不明でした。しかし本著は、進化論教育が当たり前でないアメリカの著作でした。そもそも動物が進化することを信じない人相手の著書であればこその、日本人にとっては珍しい主張だったのでしょう。
