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感想・書評『現代俳句にいきる芭蕉:堀切実』ネタバレ注意「俳論を数多く残していることはあまり知られていません」(レビュー)。 #読書

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『現代俳句にいきる芭蕉』(堀切実):芭蕉は現代に生きている

俳句の神様「俳聖」として名高く、「古池や蛙飛び込む水の音」など日本人なら誰でも知っている名句を残した松尾芭蕉。彼は自ら俳句の創作に励む一方で、どのように俳句を作れば良いかを論じた俳論を数多く残していることはあまり知られていません。

しかし、芭蕉の俳論は現代に生きているというのが、『現代俳句にいきる芭蕉』です。本書では芭蕉が唱えた「姿先情後」「虚先実後」「取合せ」といった理論が正岡子規から現代の俳句まで受け継がれていることを、芭蕉の理論と実際の句を照らし合わせることで丁寧に証明していきます。この地道な作業によって、近現代の俳句に芭蕉の俳論が到達した表現論が体現されていることが明らかになるのです。しかも堀切実氏の斬新な句の解釈が何とも小気味よく、俳句を読むことの面白さも体感できます。『現代俳句にいきる芭蕉』は芭蕉の俳句の表現が時代を超えて生き続ける普遍的なものであることを示すと同時に、現代の奇を衒った俳句の浅さに警告を鳴らす貴重な1冊と言えるでしょう。俳句を嗜む方には特におすすめの本です。