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感想・書評「西鶴と浮世草子研究vol.3:テーマは金銭:谷脇理史・杉本好伸・杉本和寛 編」ネタバレ注意・三越の前身である三井屋を描いたことは知られていますが(レビュー)。 #読書

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『西鶴と浮世草子研究vol.3』(谷脇理史・杉本好伸・杉本和寛 編):お金と文学は切り離せない

人間の本性が現れると言われるお金。実は井原西鶴は『日本永代蔵』『世間胸算用』といったお金と人間のあり方を描いた作品を書き残しています。そんなこともあって、『西鶴と浮世草子研究』の第3冊目のテーマは金銭となっています。

今回の企画は前回・前々回のインタビューではなく、日本で唯一の金銭に関する博物館である貨幣博物館の紹介と西鶴作品の金銭世界のリアリティーを歴史学者が検証するというちょっと硬めの内容となっています。しかし、こういう専門的な内容を扱うことにこそ、研究冊子としての価値があると言えます。実際、西鶴の作品と現実世界の金銭世界とでは微妙な食い違いがあるようで、この微妙な食い違いが西鶴作品の面白さなのでしょう。ちなみに本書の冒頭エッセイには三越相談役が寄稿文を寄せています。井原西鶴が三越の前身である三井屋を描いたことは知られていますが、その三井屋の後裔が西鶴作品を読み直すというシチュエーションが何だかすごいなと感じました。日本の古典文学がいかに日本社会の根底と結びついているかを示す事例だと思います。1冊目・2冊目に比べるとアカデミア色が強いですが、今回の『西鶴と浮世草子研究』も買いです。