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感想・書評「レベッカ:ダフネ・デュ・モーリア原作」ネタバレ注意・ヒッチコック監督によって映画化され、その後もテレビ放送されるなどミステリーの金字塔(レビュー)。 #読書

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「レベッカ」(ダフネ・デュ・モーリア原作):女の情念の物語

イギリスの女流作家、ダフネ・デュ・モーリア原作の「レベッカ」はヒッチコック監督によって映画化され、その後もテレビ放送されるなどミステリーの金字塔として名高い名作です。また、この作品が他の作品と一線を画しているのはタイトルロールである「レベッカ」がすでに故人であり、一切姿を見せないのに対し、この作品の語り手であるヒロインの名前は明記されず、「私」の一人称でのみ語られています。

そう、これは「姿のない死んだ女」と「名前のない生きた女」の情念の物語なのです。アメリカ富豪婦人の付き人としてモンテカルロに滞在していた「私」は、美貌で誉れ高かった妻レベッカを事故で亡くしたばかりのイギリス貴族マキシムと出会い、恋に落ちます。マキシムの後妻としてマンダレイの広大な屋敷に迎えられた「私」を待っていたのは、大勢の召使いを束ねるデンヴァース夫人の冷たい目線でした。デンヴァース夫人はもとは亡きレベッカが実家から連れてきた侍女だったのです。今まで人に仕えたことはあっても仕えられたことのなかった「私」は召使いの前でもおどおどし、何かと失敗してしまいます。そんな彼女にデンヴァース夫人は冷ややかに言うのです。「前の奥様はこうなさっておいででした」と・・マンダレイではレベッカは死んでなお生きているかのごとく影響力を持ち、それに対し「私」は生きながら死んでいるかのように存在感を無くしていきます。そして、愛する夫のマキシムですらレベッカを忘れられない様子なのです。この物語は哀れなヒロインが健気にもひたすら愛を信じ戦う話と思われがちですが、真の内容は「女の情念の恐ろしさ」を描いたものと言えるでしょう。特に亡きレベッカを崇拝するデンヴァース夫人が、彼女の寝室を生きている時のままに保存し、「私」に見せつけるシーンは鬼気迫って実に恐ろしいです。また、「完璧な貴婦人」として多くの人々から愛され尊敬されていたレベッカの本性が、金メッキが剥がれて醜悪な姿を見せるかのように暴かれていく様は正にホラーばりです。ですが、本当に恐ろしいのは、最終的にすべてを知り、すべてを呑み込みながら幸せに微笑む「私」かもしれません。愛するレベッカの面影と共に敗北するデンヴァース夫人よりもずっと恐ろしい・・サイコサスペンス好きの方、必見です。