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感想・書評「飛ぶ教室:原作エーリヒ・ケストナー」ネタバレ注意・天涯孤独のジョーニー、優等生のマルティン、腕っ節の強いマチアス、気弱なウリー、皮肉屋のゼバスチャン(レビュー)。 #読書

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「飛ぶ教室」(原作エーリヒ・ケストナー):少年達のそれぞれの「戦い」の物語

天涯孤独のジョーニー、優等生のマルティン、腕っ節の強いマチアス、気弱なウリー、皮肉屋のゼバスチャン・・バラバラな個性の仲良し五人組の楽しい学校生活物語、ではありません。これは少年達の涙と悲しみ、そして友情と戦いの物語です。冒頭は幼いジョーニーがアメリカの港で父親にドイツ行きの船に乗せられるところから始まります。

「向こうに着いたら祖父母が迎えに来ているから」と父親は言いますが、それは嘘でした。妻と憎しみの果てに別れた父親が、子供をゴミのように捨てたのです。そして、残酷なこの経験はその後もジョーニーの心から消えることはありませんでした。のっけから父親が子供を捨てるショッキングなシーンは、カウンターパンチのごとく読者をノックアウトしますが、最近は現実にもこれに近い虐待事件が起こっています。また、それによって多くの子供達が荒んでいきます。果たしてジョーニーもそうなってしまうのか?いいえ、彼はそうならないように静かに戦うのです。かけがえのない友人達と笑いあい、友情を育むことによって。また、他の少年達も自分の弱さやピンチを克服すべく、それぞれ戦っています。原作者のケストナーは、まるで少年達に語りかけるように優しくエールを送り、読者達も一緒に応援するかのような気持ちになっていきます。これぞ、ケストナー作品の最大の特徴とも言えるでしょう。また、脇を固める人物も非常に魅力的です。優しさと厳しさを兼ね揃えた「正義先生」、悲しい過去を持つ「禁煙さん」、誇り高い実業学校生のリーダー「エーガーラント」、劇的な成長をみせる上級生「美少年テーオドール」などなど・・そして、これらのキャラクターすべてにドラマがあり、それがこの作品に花をそえています。この作品で大事件は起こらず、クリスマスをひかえる学校生活の中の試験や学芸会の劇の様子などを淡々とした語り口調で書かれています。しかし、どんなところでも悲しみや涙、そしてため息があることを・・私達の世界と同じだということを、作者はちゃんと教えてくれているのです。現実にも大なり小なり困難がありますが、もしそんな出来事にあったら、この作品を読んで勇気をつけてみては如何でしょうか。おすすめです。